OSC003 (化学杯)

解説 : OSC003(F)

以下，アデニンを $\mathrm{A}$，チミンを $\mathrm{T}$，グアニンを $\mathrm{G}$，シトシンを $\mathrm{C}$ と略記する． シャルガフの規則により，$\mathrm{T}$ が $30$ ％なら，$\mathrm{A}$ も $30$ ％であり，$\mathrm{G}$ と $\mathrm{C}$ は $20$ ％ずつとなる． 分子量について，$\mathrm{H_3PO_4}=98，\mathrm{C_5H_{10}O_4}=134，\mathrm{A}=135, \mathrm{G}=151，\mathrm{C}=111，\mathrm{T}=126$ である．$\mathrm{A}$，$\mathrm{T}$，$\mathrm{G}$，$\mathrm{C}$ のヌクレオチド（リン酸・糖・塩基が結合したもの）をそれぞれ $\mathrm{dAMP}$，$\mathrm{dTMP}$，$\mathrm{dGMP}$，$\mathrm{dCMP}$ とすると，それらの分子量は，以下のように求められる． $$\mathrm{dAMP}=135+134+98-18\times 2 = 331$$ $$\mathrm{dTMP}=126+134+98-18\times 2 = 322$$ $$\mathrm{dGMP}=151+134+98-18\times 2 = 347$$ $$\mathrm{dCMP}=111+134+98-18\times 2 = 307$$ これらの分子量に，先程求めた含有割合を考慮して分子量の平均を求めると， $$331 \times 0.3 + 322 \times 0.3 + 347 \times 0.2 + 307 \times 0.2 = 326.7$$ となる．ヌクレオチド同士が結合し，$\mathrm{DNA}$ の鎖（ポリヌクレオチド鎖）になるとき，さらに水分子が $1$ つ抜けるため，$\mathrm{DNA}$ の鎖の中にあるヌクレオチド $1$ つ分の実質的な平均分子量は，$326.7-18=308.7$ となる．$\mathrm{DNA}$ は二重らせん構造をとり，$2$ 個のヌクレオチドで $1$ つの塩基対を形成することを考慮すると，塩基対の数 $N$ は， $$ N=\dfrac{3.0 \times 10^{-14}}{308.7} \times 6.0 \times 10^{23} \times \dfrac{1}{2} = \dfrac{10^{10}}{343}$$ となり，この対数は $ \log_{10} N= 10-3\log_{10} 7$ となり，問題文の不等式を用いると $$ 7.45< \log_{10} N < 7.48$$ となるので，$\log_{10} N$ を四捨五入して小数第 $1$ 位まで求めると，$7.5$ となる．